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2018.03.17
基礎知識
カラス

カラスの知能と農作被害は動物トップクラス!対策と業者の選び方を解説

日本の害鳥として有名なカラス。各地の自治体で被害を抑えるためにさまざまな対策が取られています。普段は上空にいるため、ゆっくり近くで見ることのないカラスですが、カラスについて知ると対策方法も分かってきます。

今回はそんなカラスの生態や対策方法について紹介していくので、カラスの被害に遭って困っている方はぜひ参考にしてください。

カラスの生態

まずはカラスがどんな特徴をもっている鳥なのか紹介していきます。

雑食性だけど木の実が大好き

カラスは雑食性でなんでも食べます。生ごみを漁っているイメージの強いカラスですが、実は大好物は木の実。糖分と水分が多く含まれる果物などは、人と同じようにカラスにも人気のようです。人と違うのは人がまだ手を出さないようなまだ熟していない果物も食べてしまうのです。

木の実以外にも昆虫や鶏の卵やひな、昆虫なども口にします。種類によっては肉食性が強く生きている家畜をついばみ、ケガを負わせることもあります。

鳥類No1の知能指数

カラスの知能は高く、鳥類では断トツです。人間でいう小学生低学年ほどの知能を持っていると言われ、実験によって6まで数えることが分かっています。記憶力の高さも認められおり、昔捕獲した人間の顔を数年経っても覚えており、再度会った時は威嚇行動をしてきます。

エサを隠しておいて後から食べる

カラスには「貯食」といって、餌をあらかじめ隠しておいて後から取り出して食べるという習性があります。すごいことに野生のカラスは100か所以上の場所に隠しても、その場所を記憶しておき性格に餌をとってくることができるのです。

さらに驚きなのは、日持ちするもの、傷みやすいという餌の特性も経験から把握して腐る前に食べることも発見されています。カラスの知能指数の高さを表す習性の一つと言えます。

好奇心旺盛で収集グセがある

カラスは好奇心が強く、人間の子供が遊んでいる姿を見て、自分もマネして遊んでいる姿が発見されています。また、自分の好みのものを集めるクセがあり、お気に入りのものを見つけると巣に持って帰る習性があります。このような生きていくのに不要な行動をするのは知能指数の高い証拠でもあるのです。

繁殖時期である3~7月は警戒心が強くなる

カラスの繁殖期は3~7月ごろとされており、他の動物同様その期間は警戒心が強く神経質になっています。地上から10~20mの樹の上や鉄塔などに巣を作り、他の動物に襲われ辛いようにしています。カラスの駆除を難しくしている原因の一つでもあります。

日本で見るカラスの種類

人からみると全て同じように見えるカラスですが、実は種類によって違う特性を持っています。日本には10種類以上のカラスが確認されていますが、今回は特に日本でみられるポピュラーな2種を紹介します。

ハシブトガラス

ハシブトガラスは日本で最もポピュラーなカラスで日本全国に生態しています。人の家の近くにも巣を作ることが多いため一番馴染みのあるカラスと言ってもいいでしょう。クチバシが大きく比較的太めで、名前の「ハシ」は嘴のハシです。

エサを見つけると安全な場所に運んで食べる習性があります。また他のカラスに比べて肉食性が強いのも特徴です。鳴き声は基本的に「カーカー」と澄んだ声を出しますが、攻撃する前や威嚇する時は「ガーガー」と濁った声を出すようになります。全体的に身体が大きく頭がこんもりしていたらハシブトガラスの可能性が高いです。

ハシボソガラス

ハシボソガラスも全国に生息するカラスですが、ハシブトカラスに比べて警戒心が強いため、少し開けた場所に巣を作ります。クチバシは比較的細く真っ直ぐで、嘴から頭にかけて自然な形で曲線を描いています。

エサを見つけるとその場で食することが多く、クルミなどを高いところから落として割ったり、車に引かせて殻を割るなど高い知能を持っています。声は比較的「ガァガァ」と濁った声で鳴きます。都心でゴミを荒らすよりも地方で農作物を食べる被害が多いのはハシボソガラスの仕業です。

カラスの被害

害鳥と言われるカラスですが、実際にどんな被害があるのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。

ゴミを漁られる

カラスの被害として最も身近なのが、朝ゴミの収集所に出しておいたゴミをカラスに襲われることでしょう。ゴミが散らかる他、カラスが餌場だと認識すると複数匹が収集所に集まるため、騒音問題やフンの問題に繋がります。多くの自治体が頭を悩ませている問題で、それぞれの地域で対策をしています。

家から出る生ごみというのは、自然界にある農作物などより栄養価が高く、カラスたちにとっては貴重な栄養源となります。中にはマヨネーズなどの脂質の高いところを選んで生ごみを漁るカラスも発見されているのでゴミの出し方には注意が必要です。

カラスに襲われる

各地でカラスに襲われるという被害報告がありますが、カラスは決して常に人に対して攻撃してくるわけではなく、基本的には人から巣や卵を守るためです。繁殖期である3~7月、特にヒナになったタイミングで人を襲うことが多いです。

また目が合ったり、手に何か持っているとより警戒され襲われやすくなります。カラスの巣は上空にありますが、歩道橋など巣に近い位置を歩いていると攻撃されやすくなります。人に攻撃するのが目的ではないため、縄張りの外までいけば基本的に攻撃してくることはありません。

農作物を食べられる

都会で人が出したゴミを食べているイメージの強いカラスですが、実は農作物も餌としており多くの農家さんがカラスの被害に頭を悩ませています。その被害総額は鳥類の中では断トツの1位、動物全体で見ても̪̪シカ、イノシシに次いでトップ3にランクインするほどです。

感染症被害

動物は基本的に感染症を運んでいる可能性があるのですが、カラスは自由に飛び回る分感染症を運ぶ範囲が広いと言われています。まだカラスによる感染症の被害報告は出ていませんが、今後鳥インフルエンザなどの危険な感染症の運び手になる可能性も高いので十分に注意しましょう。

自分でできるカラス対策

カラスの対策方法を紹介していきますが、カラスは学習能力が高いため、同じことを繰り返していると慣れてしまいます。一度対策したからといって気を抜くのではなく、カラスに慣れさせないようにする工夫も大切です。

黄色い袋に入れてゴミを出す

自治体によっては黄色いゴミ袋を指定している地域もあります。カラスは基本的に視覚で判断しておりゴミを漁るときも目で判断して漁っています。そのため黄色いゴミ袋を使うことでカラスからゴミ袋の中身を見えなくして、被害を抑えているのです。

カラスが目で判断しているとは言え、人と同じように見えているわけではありません。カラスの目は紫外線が見えるような仕組みになっており、人には見えないものも見えているのです。黄色いゴミ袋には紫外線をカットする塗料が塗られており、その塗料が原因で黄色くなっており、紫外線が見えるカラスにはゴミ袋の中が見えないという仕組みです。決してカラスが黄色を嫌いというわけではありません。

忌避剤つきのネットを使う

カラス対策としてネットでゴミを覆うというものがあり、多くの人がゴミ収集所で目にしたことがあるでしょう。しかしネットはすき間からゴミを漁られる可能性も大きいですし、ネットがはがされることもあります。ネットがはがされると、カラス以外の動物も寄ってくるため、余計被害が拡大してしまうのです。

そこで効果的なのが忌避剤つきのネットです。ネット自体にカラスの苦手な成分であるカプサイシンが含まれているため、近づいてきません。また黄色いゴミ袋同様黄色で紫外線を遮る効果があるため、中が見えづらくなっているのです。カラス以外にも犬や猫にも効果がるため、ゴミ収集所を漁る動物全般に使えます。

音で追い払う

カラスの被害が深刻な場合には音で退けるという方法があります。カラスに向けて高音と電子爆音を出すことでカラスを威嚇する装置があるのです。効果は100m先にまで及ぶので、少し広い畑などでも使えます。しかし、爆音は人にも聞こえる音なので住宅街などで使うと騒音問題にも繋がるため、使用する立地には制限があります。

匂いで追い払う

カラスの嫌いな匂いを振りかけることで寄せ付けなくするのも効果的です。場所を選ばず使えて、天然由来成分のみの製品もあるので安心して使えます。定期的に使えばカラスたちに学習させて長期的に寄せ付けなくすることもできます。しかし、近くに良質な餌場などがある場合は効果が半減してしまう恐れもあるため、周りの環境も把握しながら利用しましょう。

鳥よけスパイクを使う

鳥よけスパイクとはベランダの手すりなどに鳥たちが寄ってこれないようにする剣山のようなものです。取り付け方は接地面に合わせて数種類もあるので、さまざまな場所に取り付けることが可能です。小さなお子さんなどがいる家庭では、子供の怪我の原因になりかねないので、注意しながら利用しましょう。

カラスの死骸を吊るす

カラスは知能が高いために、仲間の死体を見ると強い恐怖感を感じ近づけなくなります。しかし本物のカラスの死骸を吊るすのは人間にも抵抗がありますし、なにより不衛生です。そのためカラスの死骸に似せた対策グッズがあるため上手く利用すると効果が高いのです。近所の方が見ると驚かれるため使う場所には注意を払いましょう。

しかし、カラスは学習能力が高いため、一度カラスの死骸が偽物だとばれると効果が薄くなります。忌避剤のスプレーを振りかけるなど他の対策グッズと合わせることで効果を高められるので、工夫して利用しましょう。

カラスは勝手に捕獲すると違法

カラスの対策方法を紹介してきましたが、実はカラスが近づかないように対策することはできても、カラス自体を捕獲することはできません。鳥獣保護法という法律によって、カラスの捕獲や駆除は制限されています。どうしてもカラスの駆除が必要な場合には、自治体の窓口で申請を出す必要があるのです。

専門業者にカラス対策を依頼する

自分で対策してもなかなか効果があらわれない、近くにカラスの巣があっていつ被害に遭うかわからないという方は専門業者に依頼しましょう。カラスは一般の方が対策しづらい動物でもあるので、あまり無理せずプロに依頼するほうが結果的に安く済む場合もあります。

プロによるカラス対策

カラス対策をプロに依頼すると言っても、素人とプロでは何が違うかイメージできない人もいるでしょう。まずは専門業者がどんな手順でカラス被害を抑えてくれるか紹介します。

現場の環境調査

カラス対策の依頼があった時にプロがまず行うのは周りの環境調査です。たまたま通りすがりのカラスが頻繁にくるだけなのか、近くに巣を作られているのか目視で確認していきます。カラスの鳴き声によっても卵やヒナがいるか判断できるため、注意深く観察します。

もしカラスの捕獲が必要になった場合、地域によっては自治体に申請を出さなければなりませんが、申請の代行も業者が行ってくれます。もし家の近くの電柱に巣を作られている場合には電力会社に電話して巣を駆除してもらうこともあるのです。

カラスの撃退と予防

調査が終わった後は必要に応じてカラスを捕獲し、カラスが生息しづらい環境を作っていきます。カラスが営巣しやすい場所には忌避剤や忌避具を使いカラスが近づけないようにします。べランダに侵入してくる場合にはベランダにネットを張ってカラスの侵入を阻止します。ひどい場合は自治体に申請をして罠を張り、捕獲して辺り一帯にカラスがいない環境を作ります。

専門業者も一般と同じように鳥よけスパイクをはじめとした忌避剤・忌避具を使いますが、しっかり調査を行ったうえで使うため、同じ道具を使っても効き目が全然違います。使い方が悪いと余計被害が増える恐れもあるので、プロに任せるのが一番でしょう。

カラス駆除の料金相場

カラス駆除の料金相場1か所で1~4万円ほどになるケースが多いです。作業場所の広さや、工事が複雑になると料金も上がっていきます。ゴミ収集所のカラス対策であればシンプルに行えますが、ビル街などのカラス被害は原因追及や対策も複雑になるため高額になりがちです。

優良業者の選び方

カラスだけではありませんが、害虫駆除をプロにお願いする場合にはしっかり見定めて依頼する必要があります。安いからといって依頼すると後から追加請求などがあってトラブルの元になるためです。専門業者を選ぶ際は下記のようなポイントを特にチェックしましょう。

まずは狩猟免許をしっかり持っているか確認しましょう。先述した通り、カラスの捕獲・駆除は勝手にすることができません。狩猟免許をもっていればしっかり自治体への申請もしながら捕獲・駆除してくれるため、のちのちトラブルになることを避けることができます。

また現地調査の際に、詳しく原因と対策について説明してくれるかもポイントです。詳しく説明してくれない業者は見積もりも不明瞭な場合が多く、追加請求される可能性も高いです。通常は無料で調査したあとに見積もりを出して作業をしてもらうため、納得した上で作業をしてもらいましょう。

長期的にカラス対策するなら専門業者へ

カラス対策は自分でできることもあり、うまく駆除アイテムを使えば効果もしっかり出せます。しかし学習能力の高いカラスは一度駆除アイテムで追い払ったとしても、危険ではないと分かるとまた家の近くに姿を現すのです。その度に手を変え品を変えカラス対策をするのは大変ですね。

その点カラスの習性や学習能力の高さを把握している専門業者であれば長期に渡ってカラスを撃退し続ける対策をしてくれるでしょう。業者によっては保証期間を定め、期間内であれば被害が再発しても無料で請け負ってくれる場合もあります。カラスを徹底的に追い払うのは専門的な知識と経験が必要なため、自分で頑張るよりもまず専門業者に話を聞いてみるのがおすすめです。

 

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